変わることには、変わりない。

よく知っていて親しみのあるものは全部やがて崩れてしまう。
優しくぼんやり光るロウソクの火も、そのうち吹き消され、再び周りを真っ暗闇に引きずり落とす。
代わりに建つものとその明かりは、奇怪のごとく馴染みが薄く、あまりにも眩しすぎる光線を放つ。
だけど、その強烈な光は失望や恐慌へと誘い込む敵ではない。人を急き立て、前に進むことを促し、その必然性を知らせてくれる味方だ。
この世に揺るぎなく変わらない普遍的な真実が一つだけあるとすれば、みんな例外なく、
真っ暗闇の中で衝突してほんの一瞬だけ輝きを作る素粒子の様に、変わり続けるということだろう。

この東京地獄という名のシャンデリアの中でも、変わることには、変わりない。

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無数にある気持ちの中、ある二つの大きな気持ちがいま際立つ。

一つ:周囲に受け入れられ、みんなのくだらない物語で盛り上がって、人との繋がりを感じたい。
「僕ら、皆一緒なんだ。これぞ最高。」という気持ち、それが一番大切なポイント。
二つ:独りになって、自分のくだらない感情に浸って、その個性を世の中に示したい。
「僕は、他とは違う、特別な何かを持ってるんだ。これぞ最高。」という気持ち、それも一番大切なポイント。

常にこの矛盾した二つの大きな気持ちの狭間にいるのが人間であるが、
そんな迷いや葛藤一切合切関係なく、ひっきりなしに光るのが
この東京地獄という名のシャングリラと化すその実にリアルな電燈。

どちらも最高におぞましく、最高におもしろい光景である。

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電気満開

もはやサイバーパンクでもない
レトロフューチャーでもない
サブカル何チャラでもない
何でもないこの東京地獄という名のシャンパンサイケデリアで
花の散るらん 散るらん

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一番初めに、ポロっと卵が出てくる。
可能性と期待しか感じさせない、みんな潔白でピカピカの生タマゴだ。

やがて僕らが背負う過去や思い出は、トロッとベタつく、何とも可愛らしい黄身。
半端で未熟な卵からにじみ出るこの粘性高い液体は、甘い。そしてなかなか落ちない。

そして今現在、この瞬間、周りの世の中。堂々とブリンブリンに照りと弾力性の強い、固ゆでの現実。
こいつは強い。こいつは固い。こいつは旨い。こいつは隙がない。でもそこがどこか味っけない。

一番初めに戻ろう。生まれたての卵を取っ捕まえて喰おうとしない、としよう。
特別に期待も寄せず、その卵を快く受け入れてあたたかく見守れば、
今まで見たこともないくらい綺麗で七色に鮮やぐ極楽鳥が、パリッと殻を破いて、
今まで聴いたこともない様な野獣の音色を鳴らしながら飛び立つかも知れない。
これが夢の中の卵。